ヨコハマミナトサイクリングクラブ 大湖 茂
秋晴れの好天気、京都山科はコスモスの花が満開の季節となりました。
京阪電鉄京津線の山科駅前ロータリーに東西のシクロツーリストが集合しました。K村さん、H田さんをお迎えしての友好ランです。当クラブからはF本会長、I浦さん、A荻さん、W邉さんと大湖の参加です。
自転車は26吋ランドナー4機、700Cロード3機。サイクリスト様式古典派と現代派との混成です。わたしは「ウエハラ・クラブモデル」に搭乗する古典派です、我ながら年毎にニッカーズボンが似合ってきたなあと思います。
この日の行程は下記のとおり、走行距離は約30kmでした。
山科駅 ⇒ 天地天皇陵 ⇒ 琵琶湖疎水 ⇒ 小関越え ⇒ 長等神社・三井寺 ⇒
⇒ 浮御堂(うきみどう)⇒ 琵琶湖大橋 ⇒ 渡橋して対岸の大橋東詰にて走了
自転車を組み立てる間にも、親しくご挨拶を交わすひと時が楽しいです。この日の早朝、K村さんは近江の巨樹をご覧になり山科に集合されました。参加者のうちには、第二日以後もひき続き琵琶湖畔を周遊する方々がおられるので、各人の搭乗機も軽装から重装備まで多様なのが賑やかです。
山科駅より走り出し、天智天皇山科陵を訪れます。三条通から住宅地の生活道を緩やかに上っていくとほどなく御陵に到着です。築造はいまから約1,300年前の古墳時代終末期とのことだそうで。興味深いのは幅員約3mの道を挟み、御陵の静謐さと住宅地の生活感とが隣りあわせていることです。わたしたちは古代と現代が時空を連ねる場所に立っている。不思議な、うれしい感覚です。
御陵を参拝し外周に沿って緩やかに上って行きますと、高さ約20m上方に流れる琵琶湖疎水(びわこそすい)に至ります。この区間では、自転車行の醍醐味「階段担ぎ」も堪能しました。疎水は維新による遷都後の京都復興と産業の振興を図るために開削されたもので、琵琶湖から引く水は京都市民の水源となり、水力発電の動力となりました。
水路の豊かな流れを眺めていると、京都側から発動機の音が伝わってきます。疎水観光のお客さんが乗る通船が軽快に現れました。細身の船体に満席のお客さんは、わたしたちに手を振り琵琶湖をめざして進んでいきました。
山地に開削した疎水に船舶が往来していることが意外に思えましたけれど、琵琶湖疎水は当初より船運による旅客、貨物運送が計画されていました。水路にはトンネル区間も多いので、狭く暗いなかでの操船は苦労も多かったのではないかと想像します。
疎水沿いに、未舗装ではあるけれどよく整備された道が続きます。コスモスなど秋の花が両岸を飾って華やいだ光景です。一行は秋の風情を楽しみつつ、歩行者に配慮してゆっくりと進みました。この区間は軽いギアを選び、時速10km未満で行きながらK村さんと話が弾みます。
自転車の走り方、構造と部品の話などから、何気ない日常の話題まで会話のなかに学ぶことが多いです。今回はK村さんが携行された国土地理院発行の五万図、二万五千図を拝見しました。過去に走行した記録や情報が書き込まれていて、K村さんがこの地域のいろいろな路を走り込んでおられることがよくわかります。
今回K村さんと共に参加されたH田さんは、お弟子さんとして「(K村さんと)セットもん」との仰せでした。疎水沿いに走行していると、一般道と交わる地点が随所にあります。一時停止や徐行など、注意喚起の発声を復唱して後方に伝えていただきました。また幅員の狭い場所で歩行者とすれ違うとき、直近を通過するときなど、H田さんは積極的に挨拶の声を掛けてくださいます。品位よくマナーの行き届いた行動に敬服します。シクロツーリストの一人ひとりが意識すれば、ひいては交通安全にも資するだろうと思います。
疎水は、JR湖西線と同東海道本線とが分離するあたりで山腹に阻まれ、トンネル区間となりました。わたしたちは疎水と別れ、「小関越え」と呼ばれる山越えの古道を行き琵琶湖域に進出しました。小関越えは旧道を選びましたところ、なかなかに勾配がきついです。わたしは自転車の押し歩きとなりました。
歩きながら周囲の樹木を見廻しますと倒木が目立ちます。幹の裂け目がまだ新しいのは、この秋非常に強い勢力で上陸した台風21号のような自然災害によるものだろうかと思いました。
小関越えの終点は琵琶湖疎水の取水口となる大津です。大津からは琵琶湖大橋を目指します。K村さんにはいつも先頭を引いていただき申し訳ないので、このときはわたしが前に出て風除けの先駆けを務めさせていただきました。
しばらく京阪石山坂本線に沿って進行していたところ、坂本に近づくにつれ上昇し見晴らしがよくなりました。けれどその一方で琵琶湖畔からは離れつつあります。一行は浮御堂(うきみどう)に立ち寄るため、湖畔を行く国道まで一気に高度を下げました。
大津市本堅田に所在する近江の景勝、浮御堂に到着した頃には、日も傾きかけ充実した一日の締めくくりにふさわしい情景となりました。
ご一緒に走ってくださったK村さん、H田さん本日はまことにありがとうございました。またお会いできます日を楽しみにしております。
参考資料:京都市上下水道局ホームページ「琵琶湖疎水のご紹介」
YMCC友好ラン『琵琶湖疎水を辿る』 以上
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